生徒と話していると、テストのたびに、
『計算ミスがなければ、テストでもっととれた』
というような感想をよく耳にします。『計算ミスを無くしてもっと点数をとれるようにしたい』という皆さんの悩みを解決できたらと思い、執筆しています。
私は専門は物理講師であり、数学講師ではありません(たまにやりますが)。しかし物理はほぼほぼ数学ですので通じる部分は多いと思います。
本記事では、
計算ミスが多い人の特徴
計算ミスを減らすためには?
について解説していきたいと思います。
大学受験物理講師・ともくん
青森県出身。36歳。
経歴 東北大学物理学科→東北大学大学院理学研究科物理学専攻→公務員(教職ではない)→塾業界に転職。講師歴約10年(物理・数学)
歴代合格実績:旧帝大医学部、国公立大・私大医学部、東工大、旧帝大等多数
長い講師歴で数千人近くの生徒を送り出してきました。実際にいろいろな生徒と接する中で培った経験値を活かして、より多くの読者の皆様が将来の夢をかなえることができるようお手伝いできればと思っています。
本ブログでは、『【高校生・大学受験】大学受験講師がおすすめする通信教育4選』の記事や、『【高校生・大学受験】大学受験講師がおすすめするオンライン個別3選』等の記事を執筆しています。
また、『旧帝大+東工大物理の過去問解答解説』の記事や、『大学受験基礎知識と1年間のスケジュール』『大学受験に備えてやっておくべきこと』等の記事を執筆しています。よければこちらもご活用していただければ幸いです。
計算ミスが多い人の特徴
計算ミスが多い人の特徴として、以下の3つの特徴があげられます。
- 途中式を省略しがち
- 桁を大きくしがち
- そもそも計算のルールを理解していない
です。以下その詳細を書いていきます。
途中式を省略しがち
計算ミスが多い人の特徴としては、まず、『書くのは手間がかかるから面倒くさい』と、途中式や計算の過程を省略して自分のキャパシティ以上の演算を頭の中で計算していることが多いです。
ここでは、『暗算するな』『省略するな』と言っているわけではありません。自分のキャパを超えないようにしようと言っているだけです。
中学校の定期試験や、高校入試の時は大した計算がないので、ほとんど省略してできたのかもしれませんが、高校の数学・理科では、指数計算、logの計算、繁分数等の複雑な計算を強いられる場合があります。同じような省略の仕方をしていると、高校数学では計算できずに答えにたどり着かないことが多くなってしまいます。
桁を大きくしがち
実際の計算を見た方が手っ取り早いので、この計算をしてみましょう。
計算ミスが多い人はこのように計算する傾向にあります。
この解答ではひっ算の回数が増え、また、桁も5ケタまで行ってしまうので、計算ミスが出そうです。最後の約分も見つけるのが大変で、時間がかかりそうです。
ただ、数学が得意な人は、以下のように計算します(部分分数分解については突っ込まないでくださいね)。
出てくる計算は九九レベルしか出てこないので、そこまで大変ではありません。
どちらが、計算ミスが少ないかといったら当然後者になると思います。
そもそも計算のルールを理解していない
意外に『そもそも計算のルールを理解していない』生徒は多いです。平気で計算のルールを破るせいで、答えにたどり着かないやつです。これはもはや、計算ミスではありません。
極端な例だと、次のようなことです。
【計算ミス例①】
最後の最後に約分をし間違えています。さすがに、何が間違えているのかはわかると思いますが、こういったルールを無視した計算が多発している可能性があります。
約分とは、分子と分母を同じ数で割っていいというルールのもと計算しています。
この例だと分母と分子を2で割ることで約分をします。
しかし、上の解の公式の例だと分母と分子を3で割る場合、ルートの部分も3で割る必要があるのに、割っていません。
高校数学では、通分・約分、移行に加えて、指数計算やlogの計算、繁分数等々、中学に加えてさらに複雑になってきます。先日、入試問題の数学の質問を受けたとき、以下のような計算をしている生徒がいました。
【計算ミス例②】
これも完全なルール無視です。解き始めて1行目でこれですので、解には絶対たどりつけません。
このように、計算ルールをきちんと理解していないがために平気でルールを無視して計算していく生徒は多いです。
計算力の重要性
最近の教育現場では、とくに共通テストが始まってきてから「思考力」や「発想力」と言われ続けています。
しかし、その「思考力」や「発想力」を下支えしているのは確固たる「計算力」であることを忘れないでほしいです。
計算ができなければ、普段の学校の授業でなんでその計算になるのかわからず、授業についていくこともできなくなっていってしまいます。
2022年大学入試共通テストで数学の平均点がセンター試験含め過去最低点をたたき出しました。数学IAが37.96点、数学IIBが43.26点となり、数学で悲惨な点数をとった生徒は数多くいました。単純に難しいのもあったのですが、時間が足りなくて解き終わらないという生徒が多いです。昔に比べれば計算量は少ないような気がしますが、それでも計算力さえあれば、もう少し考えられたであろうし、時間内に終わらせることができたと思いますので、平均を下回ることはまずないと思います。
計算ミスをへらすためには
計算ミスはどんなに少なくても100回あったら1回くらいは起きてしまうものです。ある程度しょうがない部分はあると思います。しかし、100回中20回も30回も計算ミスをしているようでは、得点は伸びていきません。計算ミスを減らすためには、まず、以下のことを徹底しましょう。
- 途中式を省略せずに書く。
- 常に約分する意識を持ちましょう。
- 計算のルールを理解しよう
以下その詳細を書いていきます。
途中式を省略せずに書く。
まず、多少めんどくさくても、途中式や計算の過程は省略せず丁寧に書くということを徹底しましょう。
式が複雑になるほど、脳内の処理ではミスが起こりやすくなります。人によって脳内で処理できるキャパシティは違いますが、高校数学・理科では、ほとんどの人は脳内で完全に処理することはできません。面倒がらずに、一つひとつを書き出すようにしましょう。書き出すことで視覚的に確認しながら計算を進められるので、ミスが起きにくくなります。
また、書き出すことで、計算ミスをしていても、どこで間違ったか見返しやすくなりますので、発見が早くなるというメリットもあります。
常に約分する意識を持ちましょう。
ケタは大きくなればなるほど、計算途中でミスをしやすくなってしまいます。私個人的にはなるべく『3ケタ以上にならないようにする』というのを意識して計算しています。
どうしようもなくなれば、計算でゴリ押しせざるを得ないのですが、ほとんどの場合約分できることが多いので、常に約分する意識を持つことが重要です。
また、なるべく、掛け算はせずにとっておくというのも意外に重要です。
先ほどと同じ計算式ですが、例えば、上の計算では2×7×11(下から3行目)はわざと計算しないようにしています。もし下から3行目の段階で計算してしまうと、素因数7や11が見えずらく(発見しずらく)なってしまいます。このように、計算過程において、常に約分できるよう素因数が見える状態にしておくというのもお伝えしておきたい計算テクニックです。
計算のルールを理解しよう
計算ミスはどんなに少なくても100回あったら1回くらいは起きてしまうものです。しかし、100回中20回、30回も計算ミスをしてしまうような人は、もはやそれは計算ミスではありません。計算のルールを守れていないために、起こっている可能性があるので、一度以下の計算のルールを確認しましょう。
他に、細かいものはいっぱいありますが、まずはこのルールを徹底するだけでも計算ミスは圧倒的に減ります。
まとめ
計算ミスが多い人の特徴として、以下の3つの特徴があげられます。
- 途中式を省略しがち
- 桁を大きくしがち
- そもそも計算のルールを理解していない
です。計算ミスを減らすためには、まず、以下のことを徹底しましょう。
- 途中式を省略せずに書く。
- 常に約分する意識を持ちましょう。
- 計算のルールを理解しよう。
本ブログでは、『【高校生・大学受験】大学受験講師がおすすめする通信教育4選』の記事や、『【高校生・大学受験】大学受験講師がおすすめするオンライン個別3選』等の記事を執筆しています。
また、『旧帝大+東工大物理の過去問解答解説』の記事や、『大学受験基礎知識と1年間のスケジュール』『大学受験に備えてやっておくべきこと』等の記事を執筆しています。よければこちらもご活用していただければ幸いです。
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