高校1年生の冬までには、「文系」「理系」の選択(通称「文理選択」)をしなくてはなりません。
この選択によって、2年生から文系コース・理系コースにクラス分けされ、それに沿った教科や科目の勉強をすることになります。
また、この選択は、大学入試の受験学部学科・受験科目、その先の就職にも関わるため、とても大切な選択と言えます。
いよいよ文理選択の時期を迎え、悩んでいる高校生は多いと思います。
文理選択はどうやって決めたらいいの?
後悔しないために文理選択の際気を付けなければならないことは?
本記事では、そんな疑問に答えたいと思います。
大学受験物理講師・ともくん
青森県出身。37歳。
経歴 東北大学物理学科→東北大学大学院理学研究科物理学専攻→公務員(教職ではない)→塾業界に転職。講師歴約10年(物理・数学)
歴代合格実績:旧帝大医学部、国公立大・私大医学部、東工大、旧帝大等多数
長い講師歴で数千人近くの生徒を送り出してきました。実際にいろいろな生徒と接する中で培った経験値を活かして、より多くの読者の皆様が将来の夢をかなえることができるようお手伝いできればと思っています。
文系と理系の違いや特徴
高校は「文系」と「理系」でクラスや授業が分かれることが多く、文理の選択は学ぶ科目や授業内容、クラス編成に影響を与えます。よって、高校生活をどう過ごすかにおいても、文理選択は重要なポイントとなります。
コース | 高校で重点的に学ぶ科目 |
文系 | 英語・国語・地歴公民 |
理系 | 数学・理科(物理・化学・生物から選択) |
※もちろん、文系であっても、数学を全然やらないわけではありませんし、理系であっても、当然、国語や英語を扱います。
また、文理選択は、大学入試の受験学部学科・受験科目に大きく関わってきます。学部は大きく分けて「文系」「理系」「文理融合系」の3つに分けられます。
受験科目的に高校で「文系」の場合は大学は「文系学部」へ、高校で「理系」の場合は大学は「理系学部」へと進んでいくのが基本となりますが、文理融合系の学部は、どちらを選んでも受験することが多いです。
学部 | 主な受験科目 | 主な進学学部 |
文系 | 英語、国語、地歴公民(数学) | 文学部、法学部、社会学部、歴史学部、哲学部、教育学部、外国語学部、国際関係学部、政治学部など |
文理融合系 | 学部によってさまざま | 経済学部、心理学部、生活科学部、情報科学部など |
理系 | 数学、理科、英語 | 工学部、理学部、薬学部、医学部、歯学部、獣医学部、農学部、看護学部など |
※理系の場合、理科の選択によって、行ける学部・学科が絞られてしまう場合がありますので、ご注意を。
大学入試の仕組みに関しては、以下の記事に詳しく書いていますので、よければご確認ください。
文理選択の決め方
文理選択の決め方としては、多くの生徒が「将来の夢」or「科目の得意・不得意」から決めています。文理選択で悩んでいる人は、この2つから考えてみてもいいのではないでしょうか。
決め方①:将来の夢から選ぶ。
高校の文理選択に悩んだときには、まず将来の夢を考えてみましょう。文理選択によって、将来就職できる仕事の選択肢や幅が大きく変わってきます。
例えば、医者を志望する場合、文系選択では医者になることはできませんので、高校では「理系」を選択し、大学受験では医学部に進学する必要があります。
また、弁護士を目指すなら高校では「文系」を選択し、大学受験では法学部に進学して司法試験に挑むというのが基本です。
将来の夢を考えて、夢の実現のため、どの学部に進学すればよいのか、その学部に進むために必要な受験科目は何かを調べてみることが、文理選択の判断材料になります。
また、明確な将来の夢がない人も、どういった分野で働きたいかという希望があれば、文理選択の材料にできるでしょう。
決め方②:科目の得意・不得意から決める。
私の講師歴の経験上、一番多いのがこれです。「数学が生理的に無理!!だから文系に。」「国語ができる気がしないので、理系に。」と言った感じです。
私が高校生のときは、完全にこれで決めました。数学が好きだったのもあるのですが、如何せん国語が壊滅的にできず。
文理選択では、「やりたいこと」「将来の夢」から決めるに越したことはありません。しかし、高校1年生の頭から、やりたいことが明確に決まっている生徒ほとんどいません。私の講師歴の経験からすると「医者」「教員」になりたいという生徒は、1年生のうちから決まっていますが、その他はほとんどが決まっていないことが多いです。
他のサイトを見ると、「科目の得意・不得意から決める。」はあまり良くない!と書いてあることが多いですが、科目が好きならそれでもいいのでは?と私個人的には思っています。
例えば、「将来の夢とかはまだないが、数学だけは好きで得意だ。」というなら、理系を選んだほうがより難易度の高い大学に挑戦することができます。
難関大学がいい大学かと言われれば、一概にはそうと言えませんが、偏差値の高い大学への憧れを持つ生徒は多いのが実状です。
文理選択の注意点
文理選択する際に注意すべき事項を上げていきます。
注意点①:大学受験で文系でも理系科目を、理系でも文系科目を使う可能性がある
大学入試の一般選抜がどうなっているかというのを紹介しておきます。
国立大学
国立大学の一般選抜では、『大学入学共通テスト(5教科7科目型が基本)』と『個別学力検査(二次試験)』の合計で合否を決定します。国立大学文系・理系の受験の基本イメージを以下に表にしました。
受験科目 | ||||||||
文系 | 共通テスト | 外国語 | 数学IA | 数学IIB | 国語 | 地歴① | 地歴② | 理科基礎×2 |
二次試験(前期) | 外国語 | 数学IA・IIB | 国語 | 地歴 |
大学によって受験科目や配点は様々ですが、特に国公立大学では、文系でも配点は小さくなりますが共通テストで数学を使いますし、理系でも共通テストで国語数学を使います。
理系だからと言って国語から解放されるとは限りませんし、文系だからと言って理科や数学から逃れられるとは限りません。
私立大学
私立大学の一般選抜では、『個別選抜』と『共通テスト利用型入試』の2つに分類されます。個別選抜は3科目3教科型が基本です。しかし、大学・日程によって、1~2科目だけで受験できるものや、4科目必要とするものもあり、バラエティーに富んでいる印象があります。
受験科目 | |||||||
文系 | 外国語 | 国語 | 地理歴史 or 数学IA・IIB | ||||
理系 | 外国語 | 数学 | 理科 |
※理科は受験科目が指定されている可能性がある。
注意点②:文転・理転は可能だが、難しい
文系に進んだ生徒が途中から理系に転じることを「理転」、その逆を「文転」と言いいます。文転や理転が可能かと言われれば、可能です。実際、毎年生徒と接していると、何人かは「文転」「理転」する人を見かけます。
途中で文転・理転すると「数Ⅲ・理科を独学でやらなければならない!」「学校の定期試験のためだけに受験で必要ない専門理科までやらないといけない!」となってしまいますので、正直文転・理転は大学受験では科目負担でしかありませんのでオススメできません。。
一般的に「理転よりも文転の方がしやすいから、迷っているなら最初は理系を選択しておくと良い」と言われます。
理転する場合、数Ⅲ+専門理科の科目を最悪独学で学ばなければなりません。しかし、文転の場合は共テで社会1科目&専門理科2科目で受験できる大学もありますし、二次試験も国数英で受けられる大学もあります。確かに、理転よりは文転の方が大学受験の難易度的にはマシでしょう。
ただし、結局、年度の途中で選択科目を変えることはできませんし、3年次で文転・理転しても2年時の1年間で履修した科目の遅れを個人の勉強で頑張る必要が出てきてしまいます。
それでも、やりたいことが変わって、どうしても文転・理転したい!!!となってしまったら、しょうがありません。覚悟決めて死ぬほど勉強しましょう。
注意点③:学校や塾の先生や親に流されて決めると後悔する
高1で文理選択をする際、よく「私、文系理系どっちに進めばいいですか?」みたいな質問が生徒から飛んでくることがあります。そういった質問が来た際は、漏れなく説教して差し上げます。。。
高校の勉強は、2年生、3年生と学年が上がれば上がるほど難易度が徐々に増していき、また、覚えなければならないことも増えてきます。そのため、自分主体のモチベーションが無いと、勉強を続けるのがかなり厳しいです。
自ら意思決定しないと、その選択に責任が発生しません。人に流されて決めると、モチベーションを維持するのがとても難しいです。必ず自ら意思決定しましょう。
また、個人的には文理選択で一番大事なことは『自分で調べて、考えて、自分で選択する』だと思っています。高校生は、大人として少しずつ成長していかなければなりません。人生の中で重大な選択を迫られるタイミングはいっぱいあります。大学受験、就職、転職、結婚。。。
文理選択ごときで意思決定できなければ、今後の人生において重大な選択をできない人間になってしまうかもしれません。
この記事のまとめ
以上、文系・理系の特徴。後悔しない『文理選択』の仕方と注意点について解説させて頂きました。
記事の内容をまとめると以下の通りです。
▼この記事のまとめ
- 文理選択は、残りの高校生活、大学受験、就職に大きく関わってくる。
- 文理選択の仕方としては、多くの生徒が「将来の夢」or「科目の得意・不得意」から決めている。
- 文理選択における注意点は「大学受験で文系でも理系科目を、理系でも文系科目を使う可能性がある」「文転・理転は可能だが、難しい」「学校や塾の先生や親に流されて決めると後悔する」
このほか当ブログでは、高校生活、大学受験に関する情報を多数掲載しています。あわせてご活用ください。
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