【高校物理の要点】円運動

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本記事では、『円運動』について解説していきたいと思います。

筆者について

大学受験物理講師・ともくん

青森県出身。37歳。

経歴 東北大学物理学科→東北大学大学院理学研究科物理学専攻→公務員(教職ではない)→塾業界に転職。講師歴約10年(物理・数学)

歴代合格実績:旧帝大医学部、国公立大・私大医学部、東工大、旧帝大等多数

長い講師歴で数千人近くの生徒を送り出してきました。実際にいろいろな生徒と接する中で培った経験値を活かして、より多くの読者の皆様が将来の夢をかなえることができるようお手伝いできればと思っています。

目次

速さと角速度

速さと加速度:\(v=r\omega\)

速さ\(v\)[m/s],半径\(r\)[m],角速度\(\omega\)[rad/s]

物体が円周上を一定の速さで回る運動を等速円運動という。

円運動をする物体の単位時間当たりの回転角を角速度という。半径\(r\)[m]の円周上を角速度\(\omega\)[rad/s]で等速円運動しているとき,微小時間\(\it\Delta t\)の間に角度\(\it\Delta\theta\)だけ回転するとしたとすると,

$$\displaystyle\omega=\frac{\it\Delta \theta}{\it\Delta t}$$

が成り立つ。一方,この間に物体が通過する円弧の長さ\(\it\Delta l\)[m]は\(\it\Delta l=r\it\Delta\theta\)とあらわせるので,物体の速さ\(v\)[m/s]は,

$$\displaystyle v=\frac{\it\Delta l}{\it\Delta t}=r\frac{\it\Delta\theta}{\it\Delta t}$$

となる。これより,

$$v=r\omega$$

が成りたつ。

周期と回転数

周期と回転数

 \(\displaystyle T=\frac{2\pi r}{v}=\frac{2\pi}{\omega}\)

 \(\displaystyle n=\frac{1}{T}\)

周期\(T\)[s],半径\(r\)[m],速さ\(v\)[m/s],角速度\(\omega\)[rad/s],回転数\(n\)[Hz]

等速円運動する物体が1回転するのに必要な時間を周期という。等速円運動の半径を\(r\)[m],角速度を\(\omega\)[rad/s],速さを\(v\)[m/s],周期を\(T\)[s]とすると,1回転したときの物体の移動距離は円周\(2\pi r\)[m]であるから

$$T=\frac{2\pi r}{v}$$

とあらわせる。また,\(v=r\omega\)より,以上の周期の公式は,

$$T=\frac{2\pi}{\omega}$$

と書き変えられる。

1秒当たりの回転の回数を回転数という。回転数\(n\)[Hz]と周期\(T\)の関係は,

$$n=\frac{1}{T}$$

となる。

等速円運動の加速度

等速円運動の加速度:\(\displaystyle a=r\omega^2=\frac{v^2}{r}\)

加速度\(a\)[m/s²],半径\(r\)[m],角速度\(\omega\)[rad/s],速さ\(v\)[m/s]

等速円運動では,速さは一定だが,その向きは常に変化しているので,速度自体は変化している。つまり,加速度が生じていることがわかる。半径\(r\)[m],速さ\(v=r\omega\)の等速円運動について考える。\(\it\Delta t\)[s]の間に角\(\it\Delta\theta=\omega\it\Delta t\)[rad]だけ回転し,速度が\(\overrightarrow{v}\)[m/s]から\(\overrightarrow{v’}\)[m/s]になったとき,速度の向きも\(\it\Delta \theta\)だけ方向を変える。

速度の変化\(\it\Delta \overrightarrow{v}=\overrightarrow{v’}-\overrightarrow{v}\)の大きさは,経過時間\(\it\Delta t\)を短くしていくと,下図より\(\it\Delta v≒v\it\Delta\theta\)に近似することができるので,加速度\(\overrightarrow{a}\)[m/s²]の大きさ\(a\)は,

\begin{eqnarray}a=\dfrac{\it\Delta v}{\it\Delta t}&≒&\dfrac{v\it\Delta \theta}{\it\Delta t}\\&=&v\times\dfrac{\it\Delta \theta}{\it\Delta t}\\&=&v\omega\\&=&r\omega^2=\dfrac{v^2}{r}\end{eqnarray}

とあらわすことができる。また,\(\it\Delta t\)を十分小さくしたとき,加速度の向きは速度の向きと直行するので,円の中心に向いていることがわかる。

等速円運動の運動方程式

等速円運動の運動方程式:
\(mr\omega^2=F\) または \(\displaystyle m\frac{v^2}{r}=F\)

質量\(m\)[kg],半径\(r\)[m],角速度\(\omega\)[rad/s],速さ\(v\)[m/s],向心力\(F\)[N]

物体が等速円運動しているとき,物体は常に中心方向に一定の大きさの加速度\(\overrightarrow{a}\)を持っている。この向心加速度を引き起こす,円の中心へ向かう向きにはたらく力\(\overrightarrow{F}\)を向心力という。

質量\(m\)[kg]の物体が半径\(r\)[m],速さ\(v=r\omega\)[m/s]の等速円運動をしているとき,向心力の大きさを\(F\)[N]とすると,等速円運動の中心方向に対する運動方程式は

$$mr\omega^2=F または m\frac{v^2}{r}=F$$

となる。

鉛直面内の円運動

速さが一定とならない円運動でも,向心加速度\(a=\dfrac{v^2}{r}\)を使うことができる。例えば,半径\(r\)[m]のなめらかな半円筒の内面の最下点Aに向かって,質量\(m\)[kg]の小球を水平方向に速さ\(v_0\)[m/s]ですべらせる。最下点Aから角\(\theta\)だけ回転した点Bにおける速さを\(v_\theta\)とすると,エネルギー保存則より,

\begin{eqnarray}\dfrac{1}{2}mv_0^2&=&\dfrac{1}{2}mv_\theta^2+mgr(1-\cos\theta)\\v_\theta&=&\sqrt{v_0^2-2gr(1-\cos\theta)}\end{eqnarray}

とあらわせる。ここで,小物体にはたらく垂直抗力を\(N\)とすると,点Bにおける向心方向の運動方程式は,

$$m\frac{v_\theta^2}{r}=N-mg\cos\theta$$

と書きあらわすことができる。\(v_\theta=\sqrt{v_0^2-2gr(1-\cos\theta)}\)を代入すると,小球にはたらく垂直抗力\(N\)は

\begin{eqnarray}m\dfrac{v_0^2-2gr(1-\cos\theta)}{r}&=&N-mg\cos\theta\\ N&=&m\dfrac{v_0^2}{r}-mg(2-3\cos\theta)\end{eqnarray}

となる。

小球が半円筒の内面から離れるときの角度\(\theta_0\)を求めてみよう。半円筒の内面から離れるとき\(N=0\)となることから,

\begin{eqnarray}0&=&m\dfrac{v_0^2}{r}-mg(2-3\cos\theta_0)\\ \cos\theta_0&=&\dfrac{2}{3}-\dfrac{v_0^2}{3gr}\end{eqnarray}
となる。

次に,小球が半円筒の最高点を通過する条件を求めてみよう。垂直抗力\(N\)が最小値をとるのは\(\theta=\pi\)のときである。このとき,\(N_{\rm min}=m\dfrac{v_0^2}{r}-5mg\)となる。最高点を通過する(最高点まで半円筒から離れない)条件は\(N_{\rm min}>0\)であるので,\begin{eqnarray}N_{\rm min}=m\dfrac{v_0^2}{r}-5mg&>&0\\ v_0&>&\sqrt{5gr}\end{eqnarray}
となる。よって,\(v_0>\sqrt{5gr}\)のとき,半円筒を離れることなく最高点を通過する。

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